女性の就業率が高いアイスランドでは父親、母親ともに3ヶ月の
育休が認められ、その給与の80%は国により支給されます。
北欧の自然大国が築き上げた充実した育児支援政策とは
人口は約31万人。街中には赤や青に彩られた家々がかわいらしく建ち並び、それらを支えるすべての電力が地熱と水力の自然エネルギーでまかなわれる、世界でも指折りのエコ国家だ。そんな火山が作り出す幻想的で力強い風景と、いたるところに湧出する温泉。新鮮な魚介類に舌鼓を打ち、四方に澄み渡る空気を、胸いっぱい吸いこむだけがこの国の売り物ではない。社会福祉に関しては他の北欧諸国と同様、子育て支援の充実さでは群を抜いているのだ。
国際援助団体「セーブ・ザ・チルドレン」が毎年発表する、世界146ヶ国を対象にした「母親になるのにベストな国(母親指標)」の2008年ランキングにおいて、アイスランドは前年の2位から順位を1つ落としたものの、堂々の第3位に輝いた。アイスランド以外にも、1位はスウェーデン、そして2位にノルウェー、5位のデンマーク、7位のフィンランドと、北欧の国々はすべて10位以内に入っている(ちなみに日本は31位)。
また、1人の女性が一生涯に産む子供の数を表す、合計特殊出生率をみても、2003年以降アイスランドは2.1%の高水準にある。これはヨーロッパ内においても最高の値を示している。
日本を含め、先進諸国は軒並み少子化問題を抱えているにも関わらず、なぜアイスランドでは、これほど高い出生率を維持できているのだろうか?
その理由は圧倒的に充実する、国による育児支援政策にあった。
駐日アイスランド大使夫人であるグズロン・ブリンディス・ハルザルドッティルさんが答えてくれた。「アイスランドでは、出産で入院する場合、その費用を支払う必要はありません。私も出産の際、6日間ほど入院していたのですが、すべてその費用は含まれていました。
そして産後2ヶ月間は、看護師がそれぞれの家に出向いて、子供の体調相談に乗ってくれます。したがって、子供を病院に連れて行く必要がありません。また、父親、母親それぞれが3ヶ月、またどちらかが取得できる休暇が3ヶ月あります。しかも、育児休暇中は給与の80%が支給されます。アイスランドには、子供を生んで育てるための環境が整っているのです」。
実際、およそ7割の父親が育児休暇を取得しているという。また、特筆すべきは女性の労働力率の高さだ。
「約8割の母親が何らかの仕事に就いています。もし、小さな子供がいる場合でも、昼間預かってくれるデイケアセンターを簡単に探せますし、一方で子供が体調を崩せば、数日間の休暇も取れます。よって、アイスランドの人々は子供を持つことにとても前向きです」。
男性と同じように働きながらでも子育てができる社会のシステムが、母親の就業率の高さを支えているのだ。
「多くの人々が金融機関で働いていたため、2008年秋に発生した金融危機では、わが国は大きな被害を受けました。しかし、心配はしていません。私たちは常に前向きに、力強く進んでいます。今まで数多くの難題を克服してきたように、今回も必ずや乗り越えていけると確信しています」。
これほどの充実した育児環境を作り上げた国である。ハルザルドッティルさんの言葉通り、今後もアイスランドはさらに一回り大きくなり、再び世界をリードしていくに違いない。■
グズロン・ブリンディス・ハルザルドッティルさん
駐日アイスランド大使夫人。2008年9 月に来日。20 歳と16 歳の息子を持つ2児の母。背後に飾られた絵はアイスランド人の画家か描いたもので、モデルはなんと25 歳のときのハルザルドッティルさん!
FQ JAPAN vol.11(2009.6月1日発売号より)



















