男心くすぐる水族館
芽生えた子供の好奇心に気づく場所。だから、「子供に連れられる」が正解
水族館の担う役割とは ~知的好奇心の育成~
水族館はFQ 読者のみなさんにとって、どんな存在だろうか。子供のいる多くの家族にとってはレクリエーション的な、家族でのおでかけ場所としての役割が大きいだろう。だが、水族館の持つ役割はそれだけではない。教育普及だ。
ここで指す教育とは、水生生物を見たり触ったりと五感をフルに活用することにより、身近なものとして教えるのが難しい環境教育や食育を伝えることがその1つだ。しかし、もっと大切なことがある。感覚的な部分の教育――「知的好奇心」の育成である。
特に小学校にあがるまでの小さい子供にとって、この「知的好奇心」を育てることが、今後の教育の吸収力を高めるために重要になってくる。
大人ではなく子供主体のモンテッソーリ教育
「知的好奇心」という共通のキーワードを持ち、その尊重を重点の1つに置いた教育理論として、「モンテッソーリ教育」というものがある。この教育法の具体的なメソッドについてここでは触れないが、モンテッソーリ教育の理念における水族館での父親の心構えを、とある父子の行動を一例にして説明しよう。
例として真っ先に挙げられるよくある光景が、あれ見よう、これ見ようと父親自身が子供を連れまわしてしまうケース。たしかに混雑した館内で効率よく生き物たちを見せたい親心は痛いほどわかる。でも、そこは我慢して、逆に子供に連れてきてもらったような気持ちで水族館を回ってみることをオススメする。
大人の役割は自発的な学びを可能にする“環境作り”
モンテッソーリ教育には、大人が教え込むのではなく、子供が自分で自分を教育する力を大切にするという基本理念がある。大人はあれこれと好奇心の押し付けをせず、子供が自発的に学べる環境を作るのが役目というわけだ。そのためにも今、子供の興味の対象がどこにあるのかをよく観察してみよう。
幼児期の子供は、その時期その時期で興味のあるものがまるで違う。例えば、1つの水槽にかじりついて見ていたら、そのままにしておくのが子供のためになる。だから、親ができる最大のサポートとしては、水族館を回る時間は最低でも3時間は想定しておくこと。
特に2歳までは、見たいだけ見て、触りたいだけ触り、好きなように五感を刺激させてあげることが必要。物事を考える方法を自分から獲得することを学ぶのだ。
だから、事前に水族館に行ったらこれを見ようとプランをたてるよりも、いっそのこと“ノープラン”で行くことをオススメする。つまりそれが、先ほどに説明した「子供に連れられる」ということにつながる。
では、まったく子供が生き物に興味なかったら?それならばそれでいい。この場合は、 今はこの子の興味はここ(水族館)にはないのだと思い、無理に見学するのは諦めるくらいの気持ちを持つべき。楽しめなかったら、教育ではない。
父親の意識1つで、水族館はいくらでも変化していく。水族館の可能性を引き出すかは、あなた次第だ。
■時間は余裕をもってたっぷりと
■子ども主導で見学
■子どもの些細な反応に注目
■わからないことは一緒に本で調べる
■そして父親自身も楽しもう
>>>PROFILE
監修:百枝義雄 Yoshio Momoeda
1963 年生まれ。一児のDAD。教育現場で様々な年代の子供たちと過ごしながら、教育のあるべき姿を模索。特に不登校の子供達との出会いをきっかけに「心の教育」を求め、モンテッソーリ教育を志す。現在、吉祥寺こどもの家園長。日本モンテッソーリ教育綜合研究所・教師教育センター実践講師・清泉女学院短期大学兼任講師。
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