「愛娘(5歳)が3日で自転車に乗れた」という話
~「自転車のようなもの」は速習に効果があったのか?~
[FQ JAPAN編集長の手記]!
(6)自転車で実習「自転車に乗れた」
次の週、家族で自転車を買いに行った。
娘が選んだのは青くて可愛いモトクロスタイプだ。「乗りたい、すぐ乗りたい」とせがむ娘を連れて、すぐさまいつもの公園に行った。
買ったばかりの自転車を車から下ろすと、奪い取るように跨る娘。
「きのじてんしゃ(ライク・ア・バイク)みたいに、地面を蹴ってみ」
という父のアドバイス通りに、「はーい」と元気な声で自転車を前進させる。
ライク・ア・バイクの恩恵なのか、もはやキックストロークは慣れたもんで、前進するさまは「スゥーーッ、スゥーーッ」と先週よりも明らかに調子が良い。ペダルの存在も苦にしていない。
どうやら自転車特有のバランス感覚は見事手に入れたもよう。
残すところはペダル操作だ。
果たして上手にバランス感覚を保ったまま、前向きの推進力を維持することができるのだろうか。
叫んだ瞬間、目を疑った。フラフラとハンドルを左右に操作しながら、ぎこちなく前進し始めたのである。足元を見ると、しっかりペダルを左右の足で回転させていた。
「おおおおお! すごいぞ! よし止まって!ブレーキ、ブレ……」
その時、大変なことを思い出した。僕は娘にブレーキの握り方を教えていなかったのだ。再び5m先で転んでベソをかいている娘を抱き起こす。
娘は涙目ですりむいた膝を指さしているが、まずは激励の言葉をかけてやった。「よくできたなあ。なんで初めてなのにできたんだ?」
娘は涙をこぼしながらこう言った。
「わかんない。やったらできちゃった」
(7)感想「やってみたら、できました」
小学校の1~2年生の時分だったか、体育の授業で初めて逆上がりにトライした友達が、いきなり成功してしまった、という出来事があった。
「最初からデキてたんじゃないのか!?」と、ただただ驚く先生に対して、その彼が言い放った言葉が今でも忘れられない。
「やってみたら、できました」。
……やったらできちゃった。
この感覚はなかなか得難い。これは年をとっても滅多に遭遇することのない貴重なものだ。
僕なんかは、40年も生きているが「やったらできちゃった」なんてことはほとんど記憶にない。
そのせいかどうかはわからないが、僕は何をするにも臆病で、思い切った行動を躊躇する癖がついている。
ちなみにその彼は今、会社を起こして大成功していると風の噂で聞く。
僕は思うのだ。幼児期のこうした成功体験が肌に染み付いて、やがて体質自体が成功体質と変化し、彼を勝ち組へと導いのだと。
だから「たかが自転車、いつか乗れるさ」とタカをくくっていてはいけない。
「できない」ことを「できる」ようにしてあげる。幼いうちから成功体験を味あわせてあげたい。
そういう意味では、娘を自転車に乗せたことが真の目的じゃない。「やってみたらできちゃった」の感覚を刻み込めた、ということが重要なのだ。
「ライク・ア・バイク」は我が子を、見事明るい未来へのレールに乗せてくれたのかもしれない。
って大げさか。
【プロフィール】
本田雅樹:父親向けライフスタイル誌「FQ JAPAN」編集長。自身も6歳の娘を持つ父親である。
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