第9章
「人前で涙を見せない
男たちが号泣するとき」
Part 9 :
BOYS DON’T CRY
男だって泣かずにはいられないときがある。初めて我が子を腕に抱くとき、それは普段、人前で涙を見せない男たちがまさに号泣する瞬間なのだ。
分娩後のシャワー・タイム
出産— —そこから生まれた大きなもの
彼女自身も、出産直後のシャワーはしんどかったけど、後になれば、なんだかんだ無理してよかったと思うんじゃないかな。シャワーで洗い流せばすっきりするし、不思議と気持ちも安らいでくるだろ。何より、分娩直後のベトベトの状態で肌着を着るよりは、衛生面だけじゃなくて精神的にもいい効果があるだろうしね。
一方、君は分娩直後からシャワーで彼女が不在の間、赤ちゃんを独り占めで抱くことができるから、実はそれほど彼女に対して親身になって考えていないというのが実情かな。シャワーが長ければ長いほどその分長く赤ちゃんを独占できるからね。ましてや、帝王切開の場合は、この父子の時間がさらに長くなるんだ。
初めて我が子を抱く瞬間
僕が娘のアリア誕生の瞬間を見たときに真っ先に頭に浮かんだのは、「あれっ、女の子!?」だった。女の子だからがっかりしたわけではなくて、ただびっくりして信じられなかった。その理由の1つは、なぜか僕は生まれてくる子は男の子だと120%確信していたということ、そしてもう1つの理由は、目の前で生まれ、泣き声を上げている本物の女の子の赤ちゃんが、僕の生命の半分を授っているという驚き。
初めて我が子を胸に抱くそのとき、人間としての強さと弱さが見えてくる。我が子を抱くということは、これまでにないくらい大きな責任を負い、もうバカをやってはいられないということだ。自分はまったく無意味で、「この子こそすべてだ」と思えるかもしれない。
生まれたばかりの子を抱くというのは、つまりは身がすくむような恐怖でありながら、奮い立つような得も言われぬ感激でもあるのだ。
そう、出産は人生の最大の矛盾の1つ。子供を持つというこの世で最も自然で平凡な行いが、同時に、いかなるものとも比較にならない深遠で特別なものとなる。僕が言っていることを「ちょっと大げさだな」と感じる人もいると思うけど、実際自分がその瞬間を迎えたとき、きっと実感してもらえると思うんだ。「僕の人生は何かが欠けている」と感じていた君も、この瞬間を経験したらもうそんな風には思わなくなるはずさ。
赤ちゃんを抱くことに対する恐怖とか泣き止まなかったらどうしようとかいう不安が、この束の間のDADタイムでは魔法みたいに消えてなくなる。赤ちゃんを抱いたまま立ったり座ったりすることが自然にできるようにすらなるだろう。ベテランの父親なら「そんなの当たり前だよ」と笑うかもしれないけど、実際に自分が経験するまでは、「あんなこと自分は出来るんだろうか……」と心配だったんだよね。
その瞬間を十分堪能しよう
初めて我が子を抱くというのは絶対的な喜びだ。余裕があれば、助産婦さんか誰かに写真を撮ってもらうことを強 くオススメするよ。このときほど最高の笑みを浮かべることができるのは人生の内で他にないだろうからね。
本当のところ、どんなに準備のいい父親予備軍も、実際の赤ちゃん誕生のときまで父親になるという現実を完全には理解していないと思う。出産の計画段階や妊 娠、そして分娩まで至っても、それは気持ちが高まり、真剣になっていく過程でしかない。どんなに完璧に準備をしているつもりでも、どれだけ出産や育児の参 考書を読んで知識を蓄えたとしても、決してわかるものではなくって、実際に我が子の誕生をその目で見て、抱いてこそ初めて完璧にわかるものなんだ。
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