ドイツは家族主義の意識が昔から強く、特に南ドイツは保守的なカトリック地域。
『お母さんは家にいるべきだ』『家庭のことに国が介入すべきではない』という考えも色濃く残っていて、子育ては女性の仕事とされていました。
いよいよ父親が育児に参加!ドイツの新しい育児支援制度
「2007年1月から新しい育児休暇保険制度が導入されました。それまでの育児休暇制度では、子供が生まれた後の最初の3年間、女性だけに休暇を取ることが認められていたんです。給付金は1ヶ月300ユーロ(5万円弱)と、とても低いものでした」。
そう語るのはドイツ大使館広報部長・参事官のクラウス・フィーツェさん。ドイツは新制度の導入をきっかけに、少しずつ出生率上昇の兆しを見せているという。
「移民政策などの影響もありますが、それまで1・31程度だった出生率は1・45ほどに上がりました。新制度を導入してからは、子供1人につき12ヶ月、それまでの所得の最大67%、最大で1ヶ月1800ユーロ(約30万円)の育児休暇給付を受けることができます。また、両親で振り分けて取得すれば、最長14ヶ月の休暇給付を受けることができる。これなら父親も育児に参加することが可能です。今までは働くお母さんにとっては、出産に踏み切りにくい制度であったかもしれません」。誰もが知っている幼稚園(Kindergarten)は元々ドイツで発案された施設。しかしドイツでは幼稚園や保育所が不足しているのが現状だ。
「家族主義の意識が昔から強く、特に南ドイツは保守的なカトリック地域。『お母さんは家にいるべきだ』という考えも色濃く残っていて、子育ては女性の仕事とされていました。だから幼稚園や保育園が不足していて、希望者の6%くらいしか入園できませんでした。でも現在はインフラの整備も徐々に進められていますので、出生率の向上に対して、いい影響が出るのではと思っています」。
ドイツと日本のもうひとつの共通点、それは物作り国家ということ。ドイツ製のおもちゃには、そんな物作りの国ならではのこだわりが隠されていた。
「ドイツのおもちゃは木で作られたシンプルなものがほとんどですが、とても厳しい規制の下に作られているんですよ。環境ホルモンの使用はもちろん、塗料は天然色素だけ。だから色もとてもシンプルですしね。素材だけでなく、赤ちゃんが怪我しないように、形にも厳しい基準があるんですよ」。
輸入のおもちゃにも厳しいチェックがあり、チェックマークのないおもちゃは販売することができないという、徹底した管理体制が敷かれているとのことだ。
新米パパも自宅で子育て義母との掃除戦争勃発?
政務・儀典担当のハインリッヒ・フッベさんは、新しい育児休暇制度を利用して、仕事に復帰したばかり。
「私の場合は育児休暇を子供が生まれた日から2ヶ月半取りました。生まれて少しして桜を見ながら赤ちゃんと散歩して、桜が散ったら仕事に復帰という感じですね(笑)。育児休暇はやはり以前と比べて取得しやすくなったと思います。ドイツ国内の外務省でも、ちゃんと取得できているようですよ。僕の友人もきちんと1年間取りましたから」。
フッベさんの奥さんは日本の方。子供が生まれて驚いたのは、出産における母娘の関係だそうです。
「子供が生まれてから2週間、お義母さんがずっと我が家に住み込みで奥さんの世話をしてくれたんですが、全然想像してなかったからビックリしましたね。日本人に聞くと結構普通のことらしいんですけどね。でも、一応私も奥さんの世話をするために休暇を取ったわけですから。だから私とお義母さんで、掃除合戦みたいになっちゃって(笑)。でもとても助かりましたけどね」。
ドイツが育児支援政策に本腰を入れてまだ1年と半年。まだまだ予断を許せない状況であるが、ひとまず順調といったところ。新たな制度が出生率向上によい結果をもたらせば、日本にとっていいお手本になるはず。今後のドイツに注目したい。■
FQ JAPAN vol.10(2008.8月1日発売号より)



















